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切通理作
2012.7.11 00:35

片山さつきをレイシスト(排外主義者)と認定

 片山さつき議員はいま出ている週刊朝日(7月20日号)で対談相手のジャーナリスト・安田浩一氏から、片山さんの生保叩きの発想は「在日特権を許さない市民の会」(略称在特会)のようなレイシズム(排外主義)に回収されてしまうと批判されていますが、片山氏は在特会について「名前を聞いたことがある程度で、考えも行動も一緒ではありません」と答えています。

 片山議員は自分を応援するデモに集まった者たちに「私の新しい友達」と名刺を配り「がんばって」と送り出し横断幕の前でVサインしています。
 このデモの主催は在特会と行動をともにしてきたジャパンライジング。

 

 在特会はこのブログでも紹介した通り、先月63日、新宿駅南口で吉本興業所属芸人の親族による生活保護不正受給問題に対するデモを行っていた時、騒音に抗議しようとした老人を取り囲んで殴る蹴るの暴行を加えた、暴力的な排外主義の集団です。

 

 この老人が在日朝鮮人だったなどという噂が翌日ネットに書きこまれています。
 

 ネトウヨは、大津市や埼玉のいじめ自殺の問題も在日叩きと結びつけています。

 

 「私の知る限り、イジメの被害者は弱くはない、弱いのは加害者だ、そして被害者は能力高い、性格いい、正義感がある、ルックスもいい、マトモ、だからひがんだ朝鮮人と創価が集団ストーカーと同じように学校ではイジメで自殺に追い込む事実、ま、自殺に見せかけ殺すやり方もあるねw警察も裁判所もグルね」

 

 「埼玉の中1の女の子の自殺の理由、埼玉も帰化在日と創価おおいし、イジメはあるだろうね、しかも裁判所は不当判決を平気で出すw日本は帰化在日、朝鮮中国、創価統一の無法地帯かよw 拡散協力するわ、言ってね」

 

 このようなツイッターのつぶやきが再生産されては拡散されているのです。

 


 嫌韓のネトウヨも、以前は「在日特権」「韓流」など在日や韓国と直接関係のあることが対象でしたが、いまや何か起これば全部在日がどこかで関わっているのではないかという猜疑心が始めに来て、その根拠が見出せようと見出せまいと、在日バッシングで溜飲を下げるという光景があちこちでみられます。

 

 僕自身、いじめ自殺事件における学校側の説明には納得できないことが多いし、いじめに対しての怒りもあります。

 

 しかし、ネトウヨの人たちの「いじめは許せないが差別はOK」というのはどういう理屈なのか、理解に苦しみます。

 

 片山さつきは、先の安田浩一との対談において、生存権は外国人には当てはまらないと明言しています。生活保護は在日外国人に対して甘過ぎるというのです。

 それに対して、安田浩一は「受給者としての面だけでなく、納税者としての側面も見ないとフェアじゃない」と指摘をしています。

 

 たしかに、在日外国人が税金を納めているからといって参政権の問題と同一視はできません。これは小林よしのり代表師範も指摘していますね。

 しかし在日外国人が税金を納めているのに彼らだけ生活保護を後回しにするなどという片山さつきの発想は、生存権にかかわる問題です。生存権と参政権は違います。

 

 このへんのバランス感覚を逸した片山さつきに、安田浩一が「排外主義」を見るのはしごくまっとうな見解ではないかと思います。

 生活保護の受給基準を厳格化し、苦しくなった庶民の憂さを国内問題としてではなく、在日外国人に向けさせる・・・・・・こんな青写真が目に浮かびます。排外主義を利用する片山さつきには十分警戒しなければなりません。
 
 

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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